贈りものは相手への敬意
ある本を読んでいましたら
「人からもらった名刺とお金は心臓よりも上にして持ち歩くようにしている」
という内容のものに出会いました。
お金をいつも上着の内ポケットに入れ、仕事から帰ってきたあとも
畳のうえに財布を置くようなことはしないで大切にしているそうです。
それを読んで贈りものでも同じことが言えると思いました。
贈りものは相手への感謝や心を伝える方法のひとつ。
相手が喜んでくれることだけが大切なのではなく
贈りものを渡すまでも注意が必要です。
身内の話になってしまうのですが
うちの夫は食べ物をけっして地べたや床に置きません。
調理するまえの食材であっても
食べものは自分の身体を作ってくれる命の源だからだと言います。
以前、夫と電車で出掛けたときに
手土産で渡すお菓子の重さに耐えられず
一瞬地面に置いてしまいそうになったことがありました。
そのときに人様に差し上げる、しかも食べものなのに
と怒られてしまいましたが
すこし心が成長したいま、あの時注意して貰えてよかったなと思っています。
決して地面が汚いからということを言っているわけではありません。
どうしても何処かへ置かなくてはならない状況だってあるでしょう。
ただ人様に差し上げるものは大切に扱いたいという
相手に対しての敬意なのだと思います。
お茶のお点前では畳のうえにお煎茶を置きますが
亭主はお客様を迎えるまえに
畳を舐めてもいいくらいに丁寧に綺麗に拭くものであると
以前ならったことがあります。
褒美を受けるときには頭をさげ、頭上で頂戴する、
謝るときには頭を地につけて土下座する。
思い返してみると日本文化のなかでは
天と地の扱い方や作法があるようです。
お店でお菓子を買って人様へ手渡すときは
紙袋を1枚余分にもらうこともあります。
注意していても持ち運ぶときにシワシワになってしまうことがあるからです。
シワシワの袋を相手に手渡すことはできません。
余分に紙袋をもらうのは環境面からして避けたいところではありますが
その場合は風呂敷を活用するのもいいでしょう。
贈りものを贈るひとつにしても
相手を大切に想う。
見えていないときはどうだっていいとぞんざいに扱うのは
相手を大切に扱っていないのと同じかも知れません。
贈りものはすこし高い位置のテーブルや椅子など
直接地べたではないところに置くようにするといいと思います。
ちょっとした動作のひとつですが
気持ちいい贈りものをするためのマナーのひとつです。
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