おくるみのブログ(カテゴリー: 日々のできごと)
越前和紙の旅
1月末お休みをいただいて福井、越前和紙の工房見学に行ってきました。
和紙を漉くときに奏でられる音が、なんとも気持ちよく、眠りにつきたくなるほど心地よいリズムなんだと聞いて、一度その音を聞いてみたかったのです。
そして昨今では少なくなった機械を使わない和紙作りを直接見てみたい!そんなことで日本では比較的和紙職人が多く残り、紙生産で歴史のある越前まで足を運びました。
(TOPの写真は福井県無形文化財 岩野平三郎さんの工房。大きな和紙を2人で漉いていきます。和紙の原料を撹拌する音で丁度いい粘度が分かるそう)
木の皮を剥いで、煮出して柔らかくして、茶色の表皮を剥いで、小さなゴミを指先で取り除き、たたいて繊維を細かく、漉いて、乾かして…。なんて和紙作りの工程は手間のかかるものなのでしょう。そして成長に数年かかる楮・三椏・雁皮などの木の皮だけを使用するので原料はとても高価です。国産和紙が1枚○万円する理由がこの工程を見てやっと理解することができました。
その他にもシャワーを掛けて模様をつける落水和紙や、漉いた和紙を丸めてシワをつくる揉み紙、色違い2枚の和紙を重ねる両面和紙など複数の工房、日本で唯一紙の神社でお参りして、充実した見学ができました。和紙作りの道具、原料の植物、若い人たちが頑張っている製造現場、とても親切に案内してもらえた人々の温かさ。行ってみて肌で感じることができたので本当に良かったです。
時間が足りなくて、和紙漉き体験までとはいかなかったのですが、唯一体験したのは墨流しという模様づくり。水面に染料と油を落とし、揺らし、そこへ和紙を置いて模様をつけるというもの。
(福井県無形文化財 福田忠雄さん 扇子であおいで水面を揺らす)
プレゼントに魅せられて
私ごとですが3月末に子どもが生まれます。
その知らせを聞いたAさんが、先日彼女のサイトにエッセイを寄稿させてもらったお礼&おめでとうの気持ちをこめてプレゼントを送ってきてくれました。
正直、ラッピングを仕事にしている自分がこんなにも感動し、衝撃をうけるとは思ってもみませんでした。ラッピングに見とれて、数日間包みをほどくことができなかったのです。
ずっと眺めていたいという満たされた気持ち。
本当は今すぐにでも包みをほどいてお礼を伝えたいのに、この形にとどめておいて、いつまでもうっとりしていたい…そんな気分になりました。
すぐにお礼は伝えましたが、包みをほどくことができず数日間。見てはうっとり…を繰り返しようやく包みをほどく決心をしました。
なかからは知人の作家さんが玉ねぎで染めたというリネンウールのマフラーと、妊婦の身体を気遣ってくれたのが伝わる三年番茶、麹で作られた自然甘味料などが入っていました。そして図書カード。「身体をあたためて、無事に生まれてきたら絵本でも買ってね」という優しさがじんわり。リネンウールのマフラーは洗うほど毛布のような手触りになっていくそうで、Aさんも愛用中。時間が経つほど肌になじんでいきそうで、どんなふうに変化していくのか楽しみです。
マフラーのうえには古びた和紙の匂い包みがありました。そっと開けてみると中から真綿のようなものがでてきて、その中にはドライハーブ。匂いの正体はそれでした。真綿というと赤ちゃんを連想します。空豆がお母さんのふわふわのサヤに包まれて安心して眠っているかのような。
いまマフラーを巻いてパソコンに向かっていますが、どんなに仕事に熱中していても、香りが漂うたびにふにゃっと溶けてしまいそうで、まるで私が真綿に包まれた魔法にかかってしまったみたい。
→この紐は植物の繊維。真麻かな?と私は思っているのですが。
そんな心地よさに包まれて、ラッピングはいいものだな…。
プレゼントとは物を贈る行為だけではなく、気持ちを伝える行為なんだなと、うんうんとうなずき、素晴らしい体験をさせてもらいました。
Aさんとの出会いは、わたしが東京に出てきたばかり、社会人なりたての職場でした。
年齢は7つくらい年上。当時若くて何も知らないわたしに会話のなかで出てくる本やCDを後日貸してくれるんです。
「これ、前に話していたあの本だよ」
けっして押し付けがましくなく、さらりと自然に。
借してもらった本やCDはいまでも覚えています。ポールオースターや星新一、ジェーンバーキンのCDなど。Aさんが散歩して見つけたというお菓子屋さんでは「可愛かったから」と動物型のクッキーをお土産にくれたりして、ひとりの時間を豊かに過ごせる、なんて素敵な人だろう、わたしもこんな大人になれたらいいな…といつしか憧れの女性となっていきました。
憧れの女性はたくさんいますが、歳を重ねたいま、自分は少しは成長したかしら?と思うと必ずAさんを思い出します。知識をひけらかすこともなく、賢く控えめで芯がある女性。けれど私はちっとも追いつけないし、Aさんはどんどん素敵に歳を重ねていく。
そしてそんな憧れのひととのご縁が続いていることが嬉しく、たくさんの素敵な人に囲まれていることを幸せに思います。
明けましておめでとうございます
おくるみは今日から仕事はじめです。
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
お正月用に鶴の箸置きを折り、千両と鏡餅を飾りました。
お節つくりにも挑戦し、栗きんとん、松前漬け、かずのこ、煮しめを作りました。
煮しめはひとつ1つの具材を別々に炊いたので思ったよりも大変でしたが日本の一番の行事お正月を堪能できたので満足です。
今年の目標は
・和紙の産地へ行き、和紙作りを体験する
・貼り箱の技術を習得する
です。
引き続き、お客様の温かい気持ちを大切にしながら、ひとつ1つ丁寧に包むのはもちろん忘れていません。
昨年はおくるみのオープン、お客様にご注文をいただく、という夢が叶いました。
今でもその喜びが温かく胸のなかにあります。
おくるみの準備期間に、周りから無理な事業内容だと言われることも多くありました。
人を幸せにしたい、包んでいるとき自分も幸せである、という情熱が勝っていたので実現することができましたが夢は見るものでなく実現に向けて動いていく、その積み重ねのように思います。
どんな夢でも諦めずに、たんたんと続けていけば、いつの間にか叶っているような気がします。
ときどき自分はカメのような動きしかできなくて、もどかしいのですがそれでものろまな一歩を進んでいます。でもそれでいいと思っています。
プライベートではもうすぐ子供が産まれるので、どんな新しい1年になるのかとても楽しみです。
皆さまにとって喜びの溢れた1年でありますように!!